
新卒・若手インサイドセールス育成のポイント
新卒・若手をインサイドセールスに配属してみたものの、
「モチベーションが続かずすぐに離職してしまう」
「配属したはいいが、何をどう教えればいいか分からない」
「スキルやスタンスにばらつきがあり、組織として育たない」
そのような悩みを抱えていませんか?
インサイドセールスという職種は、まだまだ認知が低く、特に新卒や若手にとっては馴染みがないものです。さらに、多くの企業では、訪問営業や中途採用者向けの育成スキームをそのまま流用してしまい、ミスマッチや育成の失敗を招いてしまうケースも少なくありません。
本記事では、インサイドセールスの弊社のアンケート結果を踏まえた導入状況や、インサイドセールス育成のポイントについて徹底解説します。
こんな方におすすめ
- 新卒社員の研修・トレーニングを検討される方
- 新卒・若手インサイドセールスの育成を担当される方
目次[非表示]
インサイドセールス導入状況
労働人口の縮小、購買行動のデジタル化といった背景から徐々に取り組み企業が増加しつつあったインサイドセールス。
2020年からのコロナ禍を経てより浸透が進んだかに思われますが、当社が2024年に23,000人以上を対象に行った調査結果によるとBtoB企業全体の分業型インサイドセールスの導入率は依然として15%弱にとどまっています。
※出典:当社独自調査(2024年実施/n=23,000)
一方で、インサイドセールス取り組み企業の従事者の内訳をみると、正社員を擁立している企業や、その人数の増加をはかる企業の割合は明確に増加傾向にあります。
※出典:当社独自調査(2024年実施/n=23,000)
また、求人数は2018年~2023年の間で6.25倍といったデータも存在しています。
(参考:「新しい営業職」求人、3年で2.62倍に増加。ニーズ高まる“人ならではの価値”CX(カスタマー・トランスフォーメーション)を背景に、広がる営業の役割)
これらのデータを踏まえると、単純なインサイドセールスの導入率拡大が起きたというよりは、未取り組み企業と取り組み企業の差がこの数年で拡大したと捉えるのが適切と言えるでしょう。
新規に取り組みを始める企業の割合は落ち着きを見せ始め、一方で既に取り組んでいる企業は人数を拡大している状況にあります。
実際に、当社にお問合わせいただく企業の属性も2020年以前~2022年あたりは新規取り組み企業の割合が多くなっていましたが、2023年頃を境目に、既に取り組み済の企業の人員拡大や組織強化、活動改善といったご相談が増加しました。
新卒・若手のインサイドセールス
その中で、新卒や若手をインサイドセールスに配属する企業の割合は20%以上となっています。
※出典:当社独自調査(2024年実施/n=23,000)
中途即戦力採用だけでなく、中長期的な育成が必要な新卒や若手を配属するということは、スポットの施策やお試しの活動では無く、企業の重要な戦略にインサイドセールスが組み込まれていることの表れと言えるでしょう。
一部の外資系企業やSaaS企業では新卒や若手を登竜門的にインサイドセールスに配属するケースは存在していましたが、ベンチャー以外の日系IT企業や非IT企業においてもこの動きが出始めていることや、単に登竜門とするのではなく長期的にキャリアを育めるポジションとしてインサイドセールスを擁立し始めていることは大きな変化の兆しと言えます。
新卒・若手インサイドセールスと、従来職種や中途入社のトレーニングの違い
ここで重要なのは、新卒・若手の育成・トレーニングの在り方です。
特に、新卒の訪問営業やフィールドセールスの育成を行ってきた企業や、中途のインサイドセールスを擁立してきた企業ほど陥る”落とし穴”が存在しています。
外資系企業や近年台頭したベンチャー企業を除き、多くの企業の場合においてインサイドセールスは後発職種となります。
そのため、既に存在していた訪問営業やフィールドセールスの育成スキームや、中途のオンボーディングスキームをそのまま転用してしまうケースが少なくありません。
しかし、インサイドセールスは訪問営業やフィールドセールスとは日々の過ごし方、目標やKPI、対応する顧客の状態など多くの相違点が存在しています。
また、即戦力化が求められる中途採用と比べると、新卒や若手の場合そもそものビジネス経験自体が大きく異なります。
こちらの記事インサイドセールスにおける成果指標の解説をしています。>【徹底解説!図解あり】インサイドセールスとは?役割や導入状況、成果指標を解説
加えて、特に新卒の場合は中途入社と異なり、インサイドセールスに従事する前提で入社してきたのではなく、内定後や入社後に配属が知らされたというケースが殆どです。
おそらくインサイドセールスという仕事や職種自体知らなかったという方が少なくとも半分以上を占めるでしょう。
【関連記事】
未経験から始めるインサイドセールス、早期戦力化のヒント【前編】
未経験から始めるインサイドセールス、早期戦力化のヒント【後編】
これほどの違いがある中で、従来職種や中途入社向けと同じような研修やオンボーディングを施しても一筋縄にはいきません。
適切な育成、成長機会を提供することができれば働き手自身と企業双方に多くのメリットがもたらされる反面、新卒や若手の早期退職や相次ぐ異動願いといった事態を招いてしまうと、その影響範囲やダメージは決して小さなものでは済みません。
何より、ビジネスキャリアの序盤をどのように過ごすかは、未来ある新卒や若手の将来を左右すると言っても過言ではない、極めて重要なテーマと言えます。
新卒・若手インサイドセールス育成のコツとは?
ここからは、実際に自社で未経験・若手や新卒合わせて200名以上のインサイドセールス人材を育成し、クライアント企業の研修・トレーニングおいてもベテラン、中堅、若手と幅広く育成に携わってきた当社の知見を踏まえ、それぞれの違いや特徴を踏まえながら新卒・若手インサイドセールス育成におけるポイントについて、いくつか触れていきたいと思います。
<新卒・若手インサイドセールス育成のポイント>
- インサイドセールスが必要とされる社会的背景や意義を伝える
- 中長期的なキャリアの選択肢とインサイドセールス職の接合をはかること
- テクニック論や応用スキルでは無くスタンス形成と土台スキル形成に重きを置くこと
- 具体的な実践トレーニングとフィードバック機会を十分に設けること
ポイント1.インサイドセールスが必要とされる社会的背景や意義を伝える
インサイドセールス職は、たしかに従事者が増加しました。数年前に比べるとその職種認知度も向上したと言えるでしょう。
しかし、営業、マーケティング、総務、経理、経営企画といった部署や職種に比べると未だ圧倒的に低い認知度であるのは間違いありません。例えば厚生労働省の職種一覧を見ても、そこには販売職や営業職はあっても、インサイドセールス職は存在しません。
また、インサイドセールスの業務における重要な手段として電話営業が存在しています。電話という手段は、遠隔値の方と、かつ事前の約束が無い状態であってもリアルタイムでスムースなコミュニケーションが取れる手法として極めて有効です。
しかし、インサイドセールスの誕生よりもはるかに歴史が長いこの手法は、一見古臭く感じても不思議ではなく、特に新卒・若手にとっては、「こんな古臭いことをやっているのはうちの会社だけなんじゃないか?」という疑問に繋がってもおかしくありません。
これは、「この会社でインサイドセールスに従事しても将来のキャリアに繋がらないのでは無いか」、「他の会社では必要とされないスキルなのでは無いか」といった不安や疑問にも繋がります。
このあたりは、インサイドセールス職を認知、理解し、自らの意思でその職種での転職活動を行っている中途人材とは抜本的に異なる点のひとつと言えます。
その中で、自社にとってのインサイドセールスの意義や重要性だけを伝えても、むしろ不安を助長する可能性すらあります。もちろん、自社における意義や重要性を伝えることも当然重要なのですが、それと合わせて日本国内での取り組み状況や、その背景にあるもの、あるいはアメリカでの取り組み状況といった、広く世の中で必要とされる職種であることを、視野を広げて伝えることが鍵となります。
これらを丁寧に説明することで、自身の仕事の世の中的な価値や意義を理解することができ、新卒や若手が安心して業務に従事することに繋がります。
第二回ではポイントの2つ目「中長期的なキャリアの選択肢とインサイドセールス職の接合をはかること 」について詳しく解説していきます。現在執筆中ですので、公開まで今しばらくお待ちいただければ幸いです。
公開次第こちらでもご案内いたします。