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個別送付資料を活用した個社別ナーチャリング成功事例

顧客育成(ナーチャリング)は、マーケティングで持続的に成果を上げるためには、とても重要な活動です。インサイドセールスが担当することが多く、見込み顧客(リード)との関係性を構築し、購買意欲を高めることで、最終的に商品やサービスを購入してもらうプロセスを指します。
ナーチャリングの活動において、成果を出すために重要なのが伝える内容の個別化です。見込み顧客の課題認識や興味・関心の度合いに応じて最適なコンテンツを使い分けることで効果的なナーチャリングが可能になります。

本ブログでは、弊社が以前行っていたテレマーケティング事業において、コンテンツ(お客様に送付する資料)を個別化してナーチャリングを効率的に行い、商談創出に結びつけた事例をご紹介します。

目次[非表示]

  1. 1.事例概要:OA機器リース業 A社様
  2. 2.個社に合わせたナーチャリング施策の取り組み
  3. 3.コールスクリプトの工夫
  4. 4.コンテンツ(送付資料)の作り方
  5. 5.コンテンツの拡充とパターン分け
    1. 5.1.セグメント① |  興味関心があることを確認済み
    2. 5.2.セグメント② |  興味関心は不明(関係性構築を進める)
    3. 5.3.セグメント③ |  興味関心は不明(課題を認識してもらう)
  6. 6.チームの役割分担
    1. 6.1.プロジェクト管理担当
    2. 6.2.コールシステム設計担当
    3. 6.3.コミュニケーション担当
    4. 6.4.戦略立案担当
    5. 6.5.コンテンツ制作担当
  7. 7.最終的な成果
  8. 8.エムエム総研のナーチャリングコンテンツソリューション

事例概要:OA機器リース業 A社様

OA機器リース業 のA社様は、プリンターやコピー機など最新鋭のOA機器をリースで提供し、自治体や法人企業の事業活動を幅広く支援しています。

弊社では、新規顧客開拓としてBDR(Business Development Representative)の施策支援を約8年間行っていました。

2014年頃にテレマーケティングとして施策支援がスタートしました。A社様が約1万5000社のターゲット企業のリストを調達し、ローラー作戦でアプローチをし、受注ニーズの可能性がありそうな顧客をトスアップするという、テレアポに近い活動から始めていきました。

最初のファーストコールはいわゆるコールドコールで、代表電話番号に連絡し、受付から担当者に繋いでもらうというオペレーションでした。担当者に接続後は簡素なヒアリングを行い、資料送付の了承を得ます。後日フォローコールとして具体的なヒアリングを行い、受注ニーズがありそうであればアポイントを打診する、という2段構えのコールフローを実施しました。


初期のテレマーケティング施策のフロー

このようなフローで、数年かけて1万5000件のリストへのアプローチを繰り返しました。そうすると、最初は完全なホワイトリストだったものから、いくつかのグループができてきます。
受付突破が全くできない企業、担当者は判明しているがヒアリングできていない企業、ヒアリングできている企業、商談化はできたものの失注した企業。このようにグループができてきたので、担当者が判明している企業にはナーチャリング活動にシフトしていくことができました。

個社に合わせたナーチャリング施策の取り組み

このようにテレマーケティングの施策を進めてきましたが、何年かけてもアポイントを取れない企業が出てきました。
そのような企業を攻略していくために、リストから注力する企業をピックアップし、個社に合わせたナーチャリング施策を実行することにしました。

<オペレーション方針>
今までアポイントが取れなかった企業なので、戦略を細かく設計していく。
そのため、前述のテレマーケティング施策のオペレーションを更に細かく、より丁寧に進めていく。

個社に合わせたナーチャリング施策のフロー

<オペレーションの手順(フロー)>
まず、プレコールにて担当者の確認を行い、自社の認知有無とリース利用有無のヒアリングを行います。そして、その回答結果に応じて4つのパターンに使い分けた資料を送付します。資料の役割は「啓蒙」とし、パワーポイントで作成した3~5ページ程度の簡易な内容で構成しました。
フォローコール①では、送付資料を会話のきっかけとしてヒアリングを進め、そこで顧客業務のお悩みなどの情報を収集していきます。
そこで得られたヒアリング結果を基に仮説を立て、個社ごとに個別化したコンテンツと営業トークを作成していきます。個別化コンテンツとは、個社ごとに違うお悩みに寄り添い、課題感の認識や興味喚起を図ることを目的とした送付資料です。フォローコール②で、個別化コンテンツを、会話の糸口にしながら、深掘りを行い、顧客の温度感の変化を確認し、トスアップを狙っていきます。

以降の項目にて、オペレーションで工夫した点などを紹介します。

コールスクリプトの工夫

会社の規模に合わせて、2つのパターンにフローを分けました。
小規模の企業と中規模以上の企業では、抱えている課題が異なるため、ヒアリング内容もそれに合わせて変えています。
また、初期フォローの段階では状況質問や質問に留めるようにし、一度の架電でのコミュニケーション量も調整しました。

コンテンツ(送付資料)の作り方

コンテンツ(送付資料)を作成する際は、「ターゲット顧客に対して、どのような仮説を立て、どのような目的でコンテンツを作るのか?」が重要です。
そのため、ターゲット顧客の企業情報については、年商はもちろんのこと、組織図や注力事業などを調べました。

そこにヒアリング内容、インサイドセールス担当がヒアリングした際の所感に加え、コンテンツで抱かせたいイメージ、送付メールの本文、次のフォローコールでの会話の想定までを、一つのシートに書き起こしました。

この一連の作業を個社ごとに行い、丁寧に戦略を練っていきました。

また、フォローコール後にはコンテンツの評価も行いました。「お客様が見てわかりやすかったか」「口頭で説明しやすかったか」など、試行錯誤してコンテンツの精度を高めていきました。

コンテンツの拡充とパターン分け

このような活動を進めていく中で、最初のうちは個社ごとに個別化したコンテンツを作成していましたが、半年ほど施策を進めていくと傾向も掴めてきました。そのため、ヒアリングの内容に沿って必要なコンテンツのパターンもある程度絞り込めるようになりました。

最終的には25種類の目的・内容の異なるページを作成し、そこからヒアリング内容に基づいて必要なページをピックアップし、起承転結を作るような構成でパターン化しました。それによりコンテンツ制作の工数を大幅に効率化することができました。つまり、1社1社ゼロから個別化するわけではなく、土台となるコンテンツがあり、それを個社ごとに部分的に変更することで、個別化コンテンツを完成させるというものです。

3つのセグメントに応じたナーチャリング戦略

フォローコール①で獲得したヒアリングの情報や所感から、ターゲット顧客を3つのセグメントに分けたナーチャリング戦略をとることにしました。そして、各ターゲットの特性に応じた個別化コンテンツを作成し、フォローコール②でその深掘りをするという活動を行いました。

セグメント① |  興味関心があることを確認済み

ヒアリングにて、顧客に興味関心があることが確認できているため、その温度感をさらに高めていくためのコンテンツを作成します。顧客の興味関心のある事柄に回答するような内容にし、フォローで回答の納得感や課題共感ができているかを確認します。そしてサービスの価値を共有し、トスアップ創出を狙います。
そのため、コンテンツは課題共感のツールとして使用します。

セグメント② |  興味関心は不明(関係性構築を進める)

顧客の興味関心が不明な場合、顧客との関係性に応じてコンテンツを使い分けます。まだ関係性構築が浅い場合には、顧客の興味関心を引き、ヒアリングにつなげられるコンテンツを作成します。そしてフォローでは、コンテンツを基に顧客の情報収集を進め、関係性構築と、次のアクションの機会創出を狙います。コンテンツはそのための関係性構築の会話ツールとして使用します。

セグメント③ |  興味関心は不明(課題を認識してもらう)

②との違いとして、顧客との関係性構築がある程度できている場合です。
ここでは、トスアップにつながるような興味関心を引きだすために、これまでとは違ったアプローチが必要です。
そのため、市場で話題になっている課題感などをフックに、ホラーストーリー仕立てで課題の啓蒙を促すコンテンツを作成します。そしてフォローでは、コンテンツに記載した課題が起きることがないかをヒアリングし、トスアップの可能性を探ります。このコンテンツは課題啓蒙ツールとして使用します。

3つのセグメントに分けた個別化コンテンツ

このように、顧客の興味関心状況と関係性によって、3つのセグメントに分けて個別化コンテンツを使い分け、それぞれの目的で態度変容を促すようにナーチャリングを進め、最終的にトスアップにつながるようにします。

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チームの役割分担

この個社別ナーチャリング施策のために、チームの役割分担も整理し、5名体制で臨んでいました。

プロジェクト管理担当

A社様との窓口としてプロジェクト全体を管理する役割です。主に、毎日の結果報告やトスアップ報告、レポーティングやコンテンツの品質チェックを担当。また、顧客へのメール文面作成とコンテンツ送付も行っていました。

コールシステム設計担当

自社でコールシステムを設計していたため、コールに必要なデータベースの管理・設計・カスタマイズを担当。
コールでヒアリングした項目はシステムのデータベースに入力しており、集計管理ができるようにしていました。

コミュニケーション担当

顧客へのコールの実働を担当。顧客とのコールコミュニケーションや、コンテンツの使用後のフィードバック、コミュニケーションした内容から次のコール戦略の方針決定をする役割でした。

戦略立案担当

コミュニケーション担当のヒアリング結果を基に、個社戦略立案を担当。顧客の企業規模、組織、注力事業などの情報を照らし合わせ、どのようなアプローチが顧客に響くかを個社ごとに考えました。

コンテンツ制作担当

コミュニケーション担当がヒアリングした内容と、戦略立案担当が考えた戦略案を基に、個社ごとにコンテンツを制作します。

プロジェクトチームの役割分担

このようにそれぞれの役割を分担しながら、施策を進めていきました。

最終的な成果

これらの活動により、ナーチャリング施策として300件中27件(リスト比9%)のトスアップを獲得することができました。これまでの活動で全くトスアップにつながらなかった企業からなので、大成功といって良い結果でした。

成功のポイントとしては、企業情報やヒアリング情報に合わせた個別コンテンツを作成し、それを元に、フォロー時のトーク設計を行ったことで、顧客との信頼関係を深め、課題の深掘りをし、態度変容を喚起できたことです。

その態度変容のきっかけを促すのが個別コンテンツでした。個社ごとのコンテンツを作成するためには一定の工数がかかりますが、積み重ねていくうちに効率化されていき、結果というリターンも得られるようになってきます。


コンテンツもコールも、顧客育成するための手段の一つです。しっかりとした戦略を立ててその手段を使うことで成果を最大化できます。
ご紹介した事例は、ターゲットに対する「関係性構築」や「課題啓蒙」のように、ナーチャリング活動で特に重要な目的をおさえた活動でした。多くの企業で参考にできる再現性のあるスキームですので、ぜひ貴社のインサイドセールスが本格的にナーチャリングを行う際にはご参考ください。

エムエム総研のナーチャリングコンテンツソリューション

インサイドセールスがナーチャリングで成果を上げていくためには、本記事で紹介したように、個社に合わせた個別コンテンツを作成し、それを積み重ねてパターン化することが望ましいです。しかし、毎回制作を外注するには多くのコストがかかり、施策のスピード感も失われます。また、コンテンツを作成するにはコンテンツ制作のスキルが必要です。そのため、コンテンツを内製化してスキルとナレッジを蓄積できる体制が望ましいです。

弊社エムエム総研では、コンテンツ作成の内製化を支援する新サービス「ナーチャリングコンテンツソリューション」の提供を開始しました。必須コンテンツの初期設計、コンテンツひな形の作成、内製用の制作ガイドやオンボーディングなど、長年の支援実績に基づくノウハウをご提供いたします。

ご興味があればぜひ資料をダウンロードください。

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