1から始めるナーチャリングの取り組み
こちらの記事では、ナーチャリングにはさまざまな手法があることをご紹介しています。
ナーチャリングには、メールマガジンやホワイトペーパー、ブログ記事などといった顧客にとって有益な情報(コンテンツ)を用いて施策を行うと効果的です。では、ナーチャリングに必要なコンテンツはどのように作成すれば良いでしょうか?
今回は、1からナーチャリングに取り組むにあたり必要なことを解説いたします。
目次[非表示]
- 1.効果的にナーチャリングを進めるために必要なこと
- 1.1.ペルソナ
- 1.2.マーケティングファネル・カスタマージャーニーマップ
- 1.3.コンテンツマップ
- 2.コンテンツの作り方
- 3.コンテンツの発信の仕方
- 3.1.課題認知段階:新規流入顧客
- 3.2.サービス認知段階:見込み顧客の育成
- 3.3.比較検討段階:商談・受注前の意思決定
- 4.最後に
効果的にナーチャリングを進めるために必要なこと
ナーチャリングにはさまざまな手法がありますが、どの手法においても共通して重要なのは、顧客の業種や課題、検討段階などの属性で切り分けたセグメントに合わせてコンテンツを用意することです。
ここで重要なことは、「どのようなセグメント」の「どのような状態の顧客」に「どのような内容のコンテンツ」を提供するのかという事前設計です。この設計ができていないままコンテンツを作成し、ナーチャリングを行うのは失敗の原因になります。では、どのように設計をすればよいでしょうか?
次項では、いくつかの設計手法について解説していきます。
ペルソナ
ペルソナとは、主にマーケティング分野で用いられる概念で、自社の製品やサービスを利用する具体的な顧客像をイメージしたものです。ペルソナを設計するにあたり、実在する人物のように細かく設定していくことで、具体的なマーケティング戦略を設計します。
例えば、決裁者や情報収集を行う担当者など、コミュニケーションをする相手の顧客像をイメージします。具体的には、以下のような項目を設計します。
- 個人情報設計:名前、年齢、性別、所属部署、役職、業務内容
- 企業情報設計:企業名、業種、年商、従業員数、拠点数、社風
- 商談情報設計:取引状況、商談経緯、現状抱えている課題
ペルソナについては、以下の記事で詳しく説明していますので、併せてご覧ください。
マーケティングファネル・カスタマージャーニーマップ
マーケティングにおいて、認知から購入に至るまでの購買行動を示す形を「マーケティングファネル」といいます。ファネルとは漏斗のことで、購買行動のフェーズが進むにつれて顧客がふるいにかけられ減少していく様から、このように呼ばれています。
この購買行動は、簡略的に説明すると大きく4つに分けられます。
- 認知:会社や商品について知る
- 興味・関心:商品について気になる、欲しいと思う
- 比較・検討:他の似た商品と比べてみる
- 購買:実際に商品を買う
このファネルをより具体的に、顧客の実際の購買行動に当てはめたものが「カスタマージャーニー」です。顧客がサービスを知り、比較検討を行い、購入・利用するまでの一連の過程を一覧化した図が「カスタマージャーニーマップ」です。カスタマージャーニーは顧客の視点で考えることが必要です。
- どのような課題を持ち始めたらサービスを探そうとするのか
- どのようなチャネルでサービスを認知するのか
- どのような観点でサービスを比較検討するのか
現在行っている施策やコミュニケーション手法、コンテンツはカスタマージャーニーのどの領域をカバーしているのか、足りていない部分はどこか。カスタマージャーニーマップを作成することは、それらの棚卸しをする役割も担っています。
コンテンツマップ
コンテンツマップとは、マーケティング領域でのコンテンツ全体を見渡す地図のようなものです。ブログ記事やホワイトペーパー、動画など、自社にはどのようなコンテンツがあり、どのような顧客に、どのように展開していくかを可視化し、顧客がコンバージョンに至るまでの導線を整理していきます。主にWebサイトのページ構成や遷移を考える際に用いられることが多いです。
これらは顧客がWebページに訪れた際に、どのような導線を辿りコンバージョンに至るのかを整理することに役立ちます。Webサイトの場合、問い合わせや資料ダウンロードへのリンクやフォームが設置されていることが多いです。これをコンバージョンと設定し、施策を行う際の成果目標・ゴールとします。このコンバージョンを得るための道筋を逆算し、顧客にどの訴求コンテンツを見てもらいながらページを進んでもらうかの導線を考えます。
コンテンツマップを考えることなくWebサイト・ページを作成してしまうと、顧客が本当に欲しい情報を得られなかったり、コンバージョンに至る前に離脱されてしまったりと、本来Webサイトに期待している効果を発揮できなくなる可能性が高くなります。
コンバージョンに至るまでの導線が整備されているか、Webサイトに来た顧客がどのような行動をするかの2点を意識してコンテンツマップを作成していきましょう。また、コンテンツマップを考えるにあたり大事になるのがペルソナです。
- 顧客がどのような課題を持っているのか
- その課題に対してどのような解決策があるかを探してWebサイトにたどり着くのか
- Webサイトのどのページを見て、どのような資料が欲しいと考えているのか
ペルソナ設計した顧客像に対し、これらの顧客の行動原理に当てはまるコンテンツが作成できているか、導線が用意されているかを可視化し把握することが必要です。これらを想定して、顧客が求めているコンテンツを作成することが求められます。
コンテンツの作り方
ここまでコンテンツを作るにあたり必要な設計について解説してきました。ここからは、実際にどのようにコンテンツを作成するかについて解説します。
まず、参考にするのはカスタマージャーニーマップです。カスタマージャーニーマップとコンテンツマップを見て、領域ごとにコンテンツの過不足を確認しましょう。そして、施策として力を入れたい部分から対策をしていきます。
例えば、商談化を重視するのであれば、商談に一番近い顕在層への訴求コンテンツとしてサービス紹介資料や事例紹介資料を作成し対策をすると良いでしょう。
新規流入を重視するのであれば、トレンド情報や課題解決手法などのホワイトペーパーを作成したりセミナーを開催したりなど、新規見込み顧客の獲得につながるような対策をすると良いでしょう。
このように、ファネルごとに最適なコンテンツは分かれています。例としては以下のようなものがあります。
課題認識段階:課題に対する啓蒙のためのホワイトペーパーやセミナー開催
課題を解決する手段はどのようなものがあるか。また、課題となっている原因や問題を放置することでどのようなデメリットがあるのか。それらの課題解決に本気で取り組むように後押しできるような、まずは啓蒙を主題にしたホワイトペーパーがあると良いでしょう。
サービス認知段階:サービス紹介資料
課題を明確に抱えていたり、課題解決に本気で取り組もうと考えていたりする段階でサービス紹介資料を提供します。また、単なるサービス紹介ではなく、課題を解決するためのサービスであることを資料に盛り込むことで、サービスに対する理解度も高くなります。
具体的には、顧客が抱えている課題に対し、サービスによってどのような解決に導くことができるのかを提示することが大切です。顧客に課題解決のイメージを持っていただき、サービス比較時の検討に残れるようにします。
比較検討段階:導入事例資料
サービスを導入した企業へのインタビューや事例などを取りまとめた資料です。実際の顧客の生の声として、サービスを導入して得られた効果について記載があると、事例の説得力も上がり導入イメージがつきやすくなります。可能であれば、ターゲットとなるセグメントや課題ごとの事例資料があると尚良いでしょう。
コンテンツの発信の仕方
前項で解説した例の場合、どのようにコンテンツを発信すべきでしょうか?
ナーチャリングの手法はさまざまありますが、ここではメールマガジンとオウンドメディアを例にご紹介します。
課題認知段階:新規流入顧客
課題を抱えた顧客がWeb検索によりWebサイト(オウンドメディア)に流入します。オウンドメディアでは、課題に対するブログ記事などを掲載し、その記事をホワイトペーパーのダウンロードを促す手掛かりとします。
サービス認知段階:見込み顧客の育成
ダウンロードにより実名が判明した顧客に対し、定期的にメールマガジンを配信し、顧客との関係性を構築・育成します。メールマガジンでは、お役立ち情報の提供やセミナーの案内、サービスの案内など、多岐にわたるアプローチを行います。最終的には、Webサイトに再訪させ、サービス紹介資料のダウンロードや問い合わせを促します。
比較検討段階:商談・受注前の意思決定
この段階に至った場合、インサイドセールスやフィールドセールスと連携した進め方が重要となります。具体的な検討を進めている顧客には、導入事例資料やサービス比較資料などを提供します。また、商談後は適宜連絡を行い、検討状況の確認をし、受注・失注が決まるまで追い続けます。
最後に
いかがでしたでしょうか?ナーチャリングに取り組むには、まずはサービスを取り巻く環境を分析し、コンバージョンに至る導線を整備し、啓蒙・認知・検討のためのコンテンツを用意することが必要です。
しかし、これらをすべて準備してから取り組もうとするのは非常に工数や労力がかかります。まずは現在、自社にあるコンテンツでそのまま利用可能なものはあるか、それがどこの段階で役立つか、今一番注力すべき段階はどこかを棚卸しして見極めていきましょう。全体像を把握した上で、足りないコンテンツに優先順位をつけて計画的に増やしていくのが理想的です。
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