トリプルWinのインサイドセールスで実現する持続的成長|INSIDESALES3.0

インサイドセールス導入の“成功”とは?

この記事では、わたしたちのコンセプトでもある「インサイドセールス3.0」という概念について紹介させて頂きます。

このコンセプトは、わたしたちが経験してきた複数の”本質的な失敗"に対する深い反省でもあり、インサイドセールス活動を成功させるための現時点での一つの解でもあります。

先にお伝えしておくと、「インサイドセールス3.0」は特別斬新な考え方というわけではありません。

また、もちろんわたしたちが作った造語であり、かつ先に中身が出来上がった後で、社内外で呼びやすいキャッチーな言葉を作ったという流れです。

なので、3.0という数字自体は重要では無く、本当に伝えたいのはその中身、意味の部分です。(そのため1.0が○○で、2.0が△△で…といった説明も割愛させて頂きます)。

インサイドセールスに関してまとめた記事もご座いますので、興味のある方はこちらからご覧ください

  【徹底解説!図解あり】インサイドセールスとは? | SalesRenovation 【徹底解説!図解あり】インサイドセールスの役割や注目を集める理由、市場間についてお伝えいたします。 SalesRenovation


目次[非表示]

  1. 1.インサイドセールス導入の“成功”とは?
  2. 2.インサイドセールスの成功とは?
  3. 3.Loss-Lossなインサイドセールス…
  4. 4.きれいごとでは無いWin-Winの追求
  5. 5.テクノロジーの活用について
  6. 6.未来の顧客を育む、ナーチャリングとインサイドセールス
  7. 7.インサイドセールスの適切な評価指標
  8. 8.インサイドセールスをもっと面白く!

インサイドセールスの成功とは?

この数年で急速に取り組みが進んでいるインサイドセールスですが、そもそもインサイドセールスの取り組みの"成功"とは何でしょうか。

わたしたちはこれを「活動の継続と事業の持続的成長」と定義付けています。

インサイドセールスの導入は、現代そしてこれからのビジネス環境において競争優位性を産み出しそれを保ち続けるための営業組織、営業プロセスのトランスフォームそのものです。

訪問営業が必要無いということでも、インサイドセールスだけやれば良いというわけでも決してありません。

また、インサイドセールスの導入目的や期待する役割については企業、組織ごとに異なっていると考えます。

そのうえで、営業生産性を最大化すること、現代購買プロセスにフィットした顧客体験を産み出すこと、については各社共通で避けて通れないテーマであり、そのためにデスクで行う営業を自社・自組織に合った形で取り入れてプロセスをアップデートすることはもはや至上命題と言えるでしょう。

従って、インサイドセールスの導入に取り組む企業がまず目指すべきは、その取り組みが継続し、新たな組織・職種として定着し発展していく状態を創ることです。

もちろん形は適宜変化、進化していくべきですが、少なくとも一過性の施策や瞬発的成果で終わることなく継続していくべき取り組みであり、その成果は持続的な事業成長という形でもたらされるべきであると考えています。

そして活動の継続、持続的な事業成長を実現するための鍵が、経営、顧客、そして従事者の三方善しのトリプルWinの活動を行うことである、

というのがインサイドセールス3.0の基本的な考え方です。

また、その中でも特に中心に据えるべきは当然のことながら”顧客(見込み客)”です。

インサイドセールス3.0概要

Loss-Lossなインサイドセールス…

しかしながら、現実に存在しているインサイドセールスの多くはまだまだそうなっていません。

よくあるインサイドセールスの典型的なパターンは、顧客を顧みずやみくもに大量のコールを行い大量のアポイントを取ることをひたすら目指すインサイドセールスです。

マネージャーが膨大なコール数やアポ数の目標を掲げ、IS従事者のお尻を叩く…根性主義をデスク営業に取り入れてみましたといわんばかりの活動。

その結果は想像に難くないと思いますが、こういった活動は1年もてば良い方で、早ければ数ヶ月で終焉を迎えます(長続きしているのを見たことがありません)。

それも経験…という意味ではそうかも知れませんが、その経験によって得られる知見に対して失うものがあまりに大き過ぎます。

ひとときの大量のアポイント数と引き換えに、お客様から嫌われ(口頭で言っていただける分には良いですが、知らない間にネットに書かれます)、ブランドに傷が付き、当分アプローチできないターゲットリストが積み上がります。

IS従事者も意義を見出せるはずが無く、モチベーションの低下、対応品質の低下、ロイヤリティの低下、そして離職へと繋がっていきます。

これらは仮にアポイント数の目標を達成したとしても、顧客にとってLoss、IS従事者にとってもLoss、経営にとってもLossです。

みんなLOSSな状態


さて、ここでお伝えしたいのは、よく議論されるKGIやKPIをどの様に立てるべきか、どのくらいが適切な活動量なのか、アポ獲得の基準をどう定義するか、というのももちろん重要なのですが、それ以前に受取手である顧客にとってWinとなる様なインサイドセールスに取り組まなければ活動が継続せず成長も持続しない、ということです。

逆に言うと、顧客のWinを追求したインサイドセールス活動を徹底することで、活動の継続と成長の持続が実現され、経営、顧客、IS従事者三方善しのトリプルWinがもたらされます。

顧客のWinを追求したインサイドセールス活動は、例えば、

 ☑受け取り手のことを省みないやみくもで一方的な電話を行わない

 ☑今すぐ案件に繋がらない見込み客もないがしろにしない

 ☑作業的に大量に電話やメールの発信を行わない

といったことに繋がります。

※もちろん、従事者の成長過程や施策の初期フェーズにおいては初動を早くし量的な活動に身を投じることが必要なシーンもありますが、その場合であってもWin-Winを目指すという基本原則を変えるべきではありません

また、

☑顧客やお相手の理解に努め、それに基づく最適な情報提供を心掛ける

☑過去の経緯や最近の動向把握も行い1to1のコミュニケーションを図る

☑今すぐ案件に繋がらない見込み客も大切にして関係を育む活動をする

☑見せかけのアポでは無くWin-Winとなる商談や取引の創出を目標とする

といった活動とも言えるでしょう。

後述するいくつかの要素も重要なのですが、この段階で既にIS従事者、経営にとってもWinな活動に近づける可能性が格段に高くなります。

IS従事者は作業的・量的な活動から、顧客にとってWinな活動を実現するために知恵を用いて工夫をする様になります。

顧客の役に立っている実感が得られる機会が増え、特に点でアポや受注に繋がらない顧客との関係を育むプロセス(ナーチャリング)の中で、企画性や創造性を伴う業務が発生します。

経営にとっては、ブランドの維持・向上に繋がり、未来の顧客と自社の人材が育まれ、インサイドセールスの取り組み自体が継続し成長していきます。

トリプルWinな状態



きれいごとでは無いWin-Winの追求

顧客のWinの追求は、決して自社の利益をないがしろにすることではありません。

むしろその逆で、昔から優秀な法人営業は一方的で量的で画一的な営業行為を行うのではなく、顧客と自社に対する深い理解に基づき、関係を育みながらWin-Winの創造に努めて来たはずです。

急がば回れで、売り切る、売り付ける或いは無理矢理アポを取るということでは無く、あくまでWin-Winに集中することで結果的に顧客との取引が生まれ、正しい理解に基づいて取引が始まることによってLTVも最大化されていきます。

テクノロジーの活用について

次に、MA(マーケティングオートメーション)やSFA、AIといったテクノロジーの活用についても少しだけ触れておきます。

インサイドセールスの成功においてツールやテクノロジーの活用は必須であると考えています。

例えばわたしたちは、国産マーケティングオートメーション「SATORI」、AI搭載IP電話「MiiTel」のユーザーでもありそれらを取り扱う代理店でもあります。

ちなみに他にも、セールスアクセラレーター「digima」、人工知能営業支援システム「GeAIne(ジーン)」、営業特化のWeb会議システム「bellface」、案件管理システムとして「Senses」等を活用して活動を行い日々試行錯誤しながら知見を高めています。

 “ツールやテクノロジーの導入は目的では無い”というのはよく言われることでもちろんその通りなのですが、一方でもはや「使うか使わないか」、では無く「何を選びどう活用し進化させていくか」を考えるべき時代に突入しています。

これはユーザーとして身をもって実感していることですが、それほどまでにできること、用いることのできる手段において大きな差が付きます。

ただし、ここでも顧客視点、顧客のWinの追求という発想は変わりません。

例えばMAは顧客を行動面から理解することで、顧客に見合った情報を適切なタイミングで届けるためのツールであり、その視点で活用することでインサイドセールス活動においても大きなプラスをもたらします。

また、先端のツールやテクノロジーに触れその知見や活用スキルを高められることはIS従事者のキャリアにおいても重要な意味を持つことにも繋がり、ツールやテクノロジーの活用範囲を高めることで過度な人的依存を回避し活動の再現性を高めることにも繋がります。

テクノロジーの活用

未来の顧客を育む、ナーチャリングとインサイドセールス

顧客のWinを追求した活動を行う中で、その時点では商談や受注に繋がらない顧客とどの様に接するのかは非常に重要なテーマとなります。

事業成長を持続させるという観点においても、未来の商談や受注に繋がる見込み顧客との関係を育み続けることは欠かせないテーマです。

顧客との関係性を育むという観点でナーチャリングと呼ばれ、一度商談や受注に繋がらなかった顧客に再アプローチを行うという観点でリサイクルと呼ばれるこの領域ですが、特に、ターゲット母数が多くない商材や保有しているリード母数が少ない企業にとっては、有限で希少な見込み顧客との関係を育み続けることは成長を持続させるうえでの生命線と言っても過言ではありません。

この領域を、見込み顧客と最も多く接触しその”インサイト”を豊富に有しているインサイドセールスがより主導的に担うことで、一層顧客に資する効果的な情報提供を行うことが可能となります。

同時に、その手法を電話に閉じることなく、メール、Webコンテンツ、プレゼン資料、セミナー等幅を広げていくことで、コール一辺倒のインサイドセールスの業務に企画や製作の要素が追加され、より専門性が高く長期キャリアも描き易い職種へと昇華します。

未来の見込み顧客を創るナーチャリングの専門職が育つことは当然経営にとってもWinです。

マーケティング部門の多くが行っている「メルマガ配信を行いWebやセミナーに誘導する」といったナーチャリング活動も、もちろんコスト効率の観点では重要な取り組みではありますが、一方で殆どのターゲットがメルマガを開いてすらくれない、開いてもWebやセミナーに来てくれないというのが実情のはずです

(※このナーチャリング活動の形態もアメリカから入ってきた手法であり、アメリカと違いターゲット母数が少なくかつリード獲得の障壁が高い日本でそのまま実行してもなかなか簡単には成果に結びつきません)。

その中で1対多のコスト効率重視で行うナーチャリングと、1to1に極力近づけることで効果を重視するナーチャリングをしっかりと分担し、前者をマーケットのプロであるマーケティング担当が、後者を見込み顧客のインサイトを最も有しているインサイドセールスが担う形が現状の最適解であると考えます。

そしてその活動成果は、短期業績貢献と等しい重みでKGIや評価指標を持つべきなのですが、次のテーマでもう少し詳しく触れていきます。


インサイドセールスの適切な評価指標

最後に、顧客のWinを追求し切るためにも、従事者のWinを担保するうえでも、もう一つ忘れてはならない重要なテーマがあります。

それはインサイドセールスの”評価”についてです。

求める活動が顧客とのWin-Winの創造にシフトしたとしても、従事者を評価する指標が結局ただのアポ数やコール数になっていたのでは、従事者は安心して邁進することが出来ません。

もちろん短期業績への貢献を評価すべきではありますが、アポ数やコール数といった”見栄えが良く"計測しやすいものの、それ自体は何の成果でも無いもの”を評価するのでは無く、Win-Winでの受注への貢献や有効な商談の獲得数にどれだけ貢献したかや、逆に無駄な営業対応案件をどれだけ抑えられたかを評価すべきでしょう。

そしてもう一つ、未来の顧客を育むことへの貢献を評価指標に加える必要があります。

顧客との関係性が向上する過程を段階やスコアで定義し、そのアップにどれだけ貢献したかを可視化し評価指標に加えることで、今と未来、両方への貢献が推奨され加速します。

多くの企業において、この未来の顧客を育むことへの貢献を評価指標に加える点が、従来の営業職の評価指標と異なる新たな観点になると思いますが、営業が”今の業績”に安心して注力するためにも、手前の工程を担うインサイドセールスは今への貢献と未来への貢献の両方の役割を果たしている必要があります。

また、属人化を防ぎ組織力を向上させるためには、ナレッジシェアやコンテンツの作成・共有といった、チーム貢献の側面を適切に評価の一部に取り入れる必要があります。

もちろん、インサイドセールス活動を成功させるには、戦略・戦術、業務プロセス等の設計、運用中のPDCA、マーケや営業との組織間の連携など、他にも大切な要素はたくさんありますが、何よりもまず土台の思想・スタンスを顧客志向とすることと、IS従事者が活き活きと長く携われる状態を創ることが、本当の競争優位性を手にするために必要な要素であり、インサイドセールス3.0における最も重要なポイントです。

インサイドセールスをもっと面白く!

以上がインサイドセールス3.0というコンセプトを打ち出すに至った背景やその実現にあたってのポイントとなる考え方となります。

競争環境が目まぐるしく移り変わる中、救世主の様に現れたインサイドセールスという取り組みですが、その実態はまだまだ発展途上で、これからもっとワクワクする、面白い取り組みへと進化させていけるはずです。

是非、経営、顧客、従事者のトリプルWinの活動を一緒に進めていきましょう。


株式会社エムエム総研
ビジネストランスフォーメーションDiv.執行役員
兼デマンドセンターマネージャー
米田 光雄


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